2013/12/27

TCHO: サンフランシスコでチョコレート工場見学


サンフランシスコのスペシャルティチョコレート*、TCHO(読みはチョー)のファクトリーツアーに参加して来た。サンフランシスコウォーターフロントのPier17に店舗があり、工場が併設されている。
サンフランシスコ発のスペシャルティチョコレートは、こことダンデライオンがある。スペシャルティの動きは、チョコレート業界ではコーヒーよりも遅れているとか。

*チョコレートをコモディテではなく高品質かつワインの様にカカオ豆の産地による個性を楽しむムーブメント。カカオ豆の生産者との関係構築にも力を入れている。

店舗外観

工場見学の前に、TCHOのバックグラウンドや理念を少し見ておきたい。


Technology + Chocolate = TCHO

シリコンバレーのスタートアップ的カルチャーとサンフランシスコの食文化が出会い生まれたTCHO。創業者は、NASAのロケット技術者、チョコレート業界のスペシャリスト、そしてWired magazineの創業者という異例の組み合わせ。ハイテク系バックグラウンドのある創業者らしく、クラウドベースのソフトバンクやiOSアプリで、トレーサビリティや発酵具合といった生産工程を管理している。

New American Chocolate

TCHOは、今までのキャンディベースのチョコレートを引き合いに出して、豆の香りにこだわった本格的なチョコレートを自前で生産する姿勢をNew American Chocolateと表現している。

TCHOSource

New American Chocolateを実現するためのプログラム。フェアトレードの上を行く概念で、生産者と直接的な関係を構築し、コモディティのカカオ豆の生産者からスペシャルティなカカオ豆の作り手へ成長する手助けをしている。


ファクトリーツアーのまとめ

ファクトリーツアーは無料で1日2回、1回1時間。人気のため休日は満員のことも多く、Eventbriteでの事前登録が確実。空きがあればウォークインで参加出来ることも。
ファクトリーツアーは、チョコレートの歴史、チョコレートがどのように作られているか、TCHOSource等についてのレクチャーから始まる。

チョコレートが出来るまでの過程は大体以下の通り
 - カカオ豆のみを取り出す
 - 豆を発酵させる
 - 豆を乾燥させる
 - 小さく砕く
 - ミルク、バニラや砂糖等と混ぜる
 - 固める

カカオ豆の種の部分だけを使うということ、チョコレートが発酵食品であるということを初めて知る。

続いて写真奥に見える工場の中へ。工場内は撮影禁止。
チョコレートを作る部屋とパッキングをする部屋に分かれていて、前者はチョコレートが固まらないように温かく、後者はチョコレートが溶けないように涼しくなっている。チョコレートを作る部屋には、原料を混ぜるところから固めてバー状にする各工程が雨どいのようなパイプでつながってるシンプルな装置。チョコレートを作る行程は、ひとつの産地のカカオに関して全行程を行い、完了したら全ての装置を洗浄してから次の産地の豆の行程を始めるそう。
種類ごとに異なるパッケージ
最後にテイスティング。チョコレートのテイスティングは、カカオの比率が高いものから低いものへというのがセオリー。ミルクや砂糖の分量が多いと口の中に膜のようなものが出来てしまい、味への感度が落ちるからとのこと。

カカオ分70%のダークチョコレートから60%台、50%台、そして最後は35%のミルクチョコレートの順にテイスティングしていった。ダークチョコレートは産地により、Fruity(ペルー産のシングルオリジン)、Citrus(マダガスカル産)、Chocolatey(ガーナ産)、Nutty(エクアドル産)とフレーバーが異なり、それらはすべて豆の特徴から来ており、香料は加えられていない。ワインやコーヒーが産地や気候によって味が微妙に異なるように、カカオ豆も産地により酸味が苦みの比率が異なっており、それらの違いを楽しむのがスペシャルティチョコレートという訳だ。ミルクチョコレートもカラメリゼしたミルクを使用していたりとこだわりが感じられた。

豆のかすかなフレーバーの違いを感じながら、産地から産地へと複数のチョコレートを食べ比べる様子は、ワインのテイスティングさながら。今まで数えきれない程チョコレートを食べて来たけど、こんなに神経を集中させて食べたのは、はじめて。

店内ではドリンクも販売されている。チョコレートドリンクの他、ブルーボトルの豆を使用したコーヒーも。ブルーボトルとのコラボ商品MOKACCINOはコーヒーフレーバーのチョコレートで、こちらも美味。

こだわりのため少し割高だけど、理念や取り組みを知ったら、応援したくなってしまう。この規模だから出来るというのもあると思うけど、企業と顧客お互いにとってメリットのある取り組みだなぁと思ったのでした。チョコレートも食べられたし、とっても充実した一時間だった。

TCHO
Pier 17, San Francisco, California
M-F 9am-5:30pm
Sa-Su 10am-5:30pm

0 件のコメント:

コメントを投稿